Reading Skill Test(RST)簡易版受験の感想文

簡易版RST(リーディングスキルテスト)を解いてみた

東ロボ(東大合格を目指すAIロボ)の開発で有名な、数学者である新井紀子氏の新刊である『AIに負けないこどもを育てる』に収録されている簡易版RST(リーディングスキルテスト)を受験してみた。出題されていたのは、例えばこんな問題だ。

アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。
セルロースは(     )と形が違う。
(1)デンプン  (2)アミラーゼ  (3)グルコース (4)酵素

このように、落ち着いてじっくり読めば、答えがわかるような問題が全28問で構成されている。しかし新井紀子氏によると「某新聞社の論説委員から経産省の官僚まで、なぜかグルコースを選ぶので驚きました」とのこと。現代の大人達は、どうやらこのような読解テストが苦手なようである。筆者が、簡易版のRSTを受験を試みた理由も、その認識が背景にあり、自身の読解力を確かめてみたかったからだ。筆者のスコアの話は、読み手にとって有益な情報になりえないと考えるので割愛するが、ともかくテストを受けた感想としては、「良かった」に尽きる。というのは、自身の中に、RSTを苦手とする子供達や大人達と同じく、文章の読解を難しくする要因である、「AI読み」の傾向を見つけることができたからである。

AI読みとは、「…のうち」「…の時」「…以外」などの機能語といわれる語に注目せず、キーワードになるような単語を拾い読みすることで、だいたいこんなことを言っているんだろうと、文章の意図を推察する読み方として、新井氏が紹介している。現代人は大量の情報を処理しなければならない忙しさから、このAI読みが癖になってしまうことが多いのでは無いかという分析は、説得力のあるものに思える。

確かに、自身の日頃の文字情報の処理形式を改めて思い返してみると、ウェブニュースやSNSの投稿など、専門分野でなく、じっくり読む覚悟をしていない文章を流し読みする時に、上のようなAI読みをしているという心当たりがある。無論そのこと自体が問題なのでは無い。そのような読み方は、大量の情報を処理するための一つの戦略でもあるからだ。問題は、そういった読み方をするべき場面ではないときに、例えば今回のRSTを受験している時に、日頃の情報処理で癖付いたAI読みが発揮されて、「何故だかわからないが、この文章が理解できない」状態に陥ってしまうことだ。AI読みに無自覚であればこそ陥るこの状態は、AI読みをしている自分を自覚することによって、加えて、「正しい読み方(ここでは機能語に気を配って丁寧に読むこと)」を認識し、意識することによって、ある程度の改善が見込めると筆者は考える。今回RSTテストを受けることによって、無意識にAI読みを発揮してしまう自分を発見することができたことは、前述したような文脈で、筆者にとって大きな収穫であった。次回以降、文章を正確に把握しなければならない場面では、機能語に充分気を配って、丁寧に文章を読むことを心がけたいと思う。

上記のような、読解力についての話に関心があったり、自身の読解力を測ってみたいと思った方は、『AIに負けないこどもを育てる』に収録されている簡易版RSTを受けてみることをオススメする。
なぜ、これからの人類には読解力が特に必要になってくるのか。読解力を伸ばすには他にどんな方法が考えられるのか。AIロボは東大に受かることがきるのか。この辺りのトピックに関心がある場合は、新井氏の著作『AI vs 教科書が読めないこども達』、『AIに負けないこどもを育てる』の内容を、じっくり参照されたい。(文責:イズミコウ)

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